○みよし広域連合特定行為実施基準

平成14年8月8日

基準第1号

1 趣旨

この基準は、みよし広域連合救急業務実施に関する規程(平成14年訓令第17号)に基づき、傷病者の救命を図るため救急救命士が特定行為を行う場合に必要な事項を定めるものとする。

2 心肺機能停止状態判断基準

心肺機能停止状態とは、次のどちらかの状態が認められた場合をいう。

(1) 心肺機能停止状態

次のどちらかの場合に、心臓機能停止状態と判断する。

ア 臨床上意識なく、総頸動脈、大腿動脈(乳児の場合は上腕動脈)の拍動が触れない場合

イ 心電図において、心室細動、心静止又は電導収縮解離の状態である場合

(2) 呼吸機能停止状態

観察上聴診器等により、自発呼吸をしていないことが確認された場合

3 特定行為の実施基準

特定行為は、心肺機能停止状態の傷病者に対して、救急救命士が必要と判断した場合に医師の具体的な指示を受けて実施する。

4 救急救命士の行う特定行為

特定行為とは、次の救急措置をいう。

(1) 半自動除細動器による除細動

(2) 食道閉鎖式エアウエイ又はラリンゲルマスクによる気道確保

(3) 乳酸加リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液

5 特定行為の実施制限

(1) 特定行為は、特定行為にかかわる基本的フロー(別表第1)に基づき実施するものとする。

(2) 特定行為は、救急事故現場から傷病者を医師に引き継ぐまでの間に実施するものとする。

6 特定行為実施手順

特定行為は、次の手順に従って実施する(別表第2から別表第4まで)。ただし、CPR(バックマスク又は手動引金式人工呼吸器等による人工呼吸と胸骨圧迫心マッサージ。以下同じ。)が中断することのないように努めること。

(1) 心肺機能停止状態であることを確認する。

(2) 心肺機能停止状態確認後、CPRを開始するとともに心電計(半自動式除細動器のハートモニターの活用も考慮する。)を装着する。

(3) 医師に次の事項を連絡し、具体的な指示を求める。

ア 傷病者の年齢、性別及び既往症等

イ 現在、心肺機能停止状態であること。

ウ 心肺機能停止状態に至った機序

エ 心肺機能停止状態を確認するに至ったバイタルサイン等の観察結果(血圧、血中酸素飽和度、心電図の状況等)

オ 現在実施している救急処置

カ 現在地及び医療機関到着までに要する時間

キ その他、医師が求めた事項

(4) 医師からの具体的な指示が得られたならば「応急処置別救急活動要領(特定行為関係)」に従って特定行為を実施するとともに、その他必要な処置を実施しながら搬送する。

7 具体的な指示を受ける医師への連絡等

(1) 具体的な指示を受ける医師(以下「指示医師」という。)への連絡は、原則として救急救命士が自動車電話を用い、指示医師が属する医療機関(以下「所属医療機関」という。)の専門電話を呼び出すものとする。

(2) 救急救命士は、具体的な指示を得るため必要な傷病者情報等を伝達し、指示医師と常に連携を保つように努めなければならない。

(3) 指示医師との連絡が不能で具体的な指示が受けられない場合は、CPRを継続しながら、最寄りの医療機関へ搬送するものとする。

8 特定行為の実施順位

特定行為のすべてが必要な場合の救急処置の優先順位は、半自動式除細動器による除細動を優先し、次に器具を使用した気道確保を行うものとし、その後乳酸加リンゲル液による静脈路確保のための輸液を行うものとする。

9 特定行為の実施場所

特定行為の実施場所は、原則として指示医師の具体的な指示を受けるのに適し、かつ、処置が適切に実施できるとともに、必要とする救急資器材が完備した救急現場又は停車中の救急車内等とし走行中の救急車内では、実施しないものとする。

10 搬送先の選定

搬送先医療機関の選定は、原則として救急救命士が行うものとし、所属医療機関を優先する。ただし、当該医療機関が収容不能な場合は、次のとおりとする。

(1) 特に指示医師の指示する医療機関があればそれに従うものとするが、通信指令室を経由して収容の可否を確認しその旨指示医師に連絡する。

(2) 前記の医療機関が収容不能でその他に搬送先医療機関に関する指示がない場合又は具体的な指示が受けられない場合は、原則として三次救急医療機関を選定する。

11 搬送先医師への引継要領

搬送先医師に対し次の事項を説明するとともに、モニター等については記録紙を提示し情報提供すること。

(1) 傷病者の年齢、既往症等

(2) 事故概要及び心肺機能停止状態に至った機序

(3) バイタルサイン等の経時的観察結果(意識、呼吸、脈拍、血圧及び心電図(特に除細動を行った場合は、除細動前後の心電図)記録紙等)

(4) 救急隊員が行った救急処置(特定行為以外を含む。)

(5) その他必要な事項

12 通信指令室との連携

救急救命士は、所属医療機関への収容可能を確認した場合、所属医療機関名及び指示医師を通信指令室に連絡すること。

13 特定行為を行う場合の留意事項

(1) 特定行為を実施する前に観察用資器材の積極的な活用を図ること。

(2) 特定行為の実施に当たっては、事前に傷病者の家族及び関係者等の理解が得られるよう努めること。

(3) 傷病者の状態から特定行為が実施できなかった場合、又は傷病者の家族及び関係者等から実施を拒否された場合は、医師の具体的な指示を必要としない救急処置を実施すること。

14 特定行為を行った場合及び実施できなかった場合は、経時的観察結果(意識、呼吸、脈拍、血圧及び心電図(特に除細動を行った場合は、除細動前後の心電図)記録紙等)、特定行為の具体的な実施結果及びその他必要な事項を救急報告書及び救急処置録に記録すること。

この基準は、平成14年4月1日から実施する。

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みよし広域連合特定行為実施基準

平成14年8月8日 基準第1号

(平成14年8月8日施行)

体系情報
第7編 務/第2章 防/第4節
沿革情報
平成14年8月8日 基準第1号